今回の投稿は、京都府京都市にある
樂美術館(らくびじゅつかん)
さんです。
2019年頃から茶器、酒器を始めとした焼き物に大変興味が湧き、集めているのですが、京都に用事があった際に長次郎を始め、傑作と呼ばれる茶器を見に、ふらりと訪れた際の手記になります。
概要
京都府京都市上京区にある樂美術館。1978年に樂家十四代吉左衞門・覚入によって開館され、収蔵作品は樂歴代作品を中心に茶道工芸美術品、関係古文書など樂家に伝わった作品を中心に構成されているとのこと。初代長次郎の黒樂茶碗 面影を始め、大変貴重な茶器を拝見することができます。公益財団法人樂美術館によって運営されています。
主に年4回の企画展(新春展、春期特別展、夏期展、秋期特別展)が開催されています。
訪問記
何度かインターネット上で拝見しており、兼ねてから訪問したかった樂美術館さんへ。今回、訪れた際に催されていたのは、「やわらかな、ぬくもり」との展名。
門構えは、木目や植物の緑、石畳が印象的なモダンなもの。30m程ある石畳の通路を抜け、エントランスへ。レストランも洋菓子店もそうですが、たどり着くまでに回廊や長い通路を抜けて行くレイアウト・建築って、雰囲気を演出する気がするのは私だけでしょうか。
展覧会によって入場料金は変わるそうですが、今回は税込み900円でした。受付で支払いを済ませ、展示スペースへ。写真撮影不可と掲示してある作品以外は、写真撮影可能と教えて頂きました。
展示スペースへ行く前の前室には、テーブル・椅子、パンフレットや書物がおいてある一角、竹を使用した花入れが展示してありました。
いよいよ、一階奥の展示スペースへ。間接照明を多用したライティングで薄暗く、作品にはスポットライトが照らされています。早朝・夕暮れ後の茶室にいるかのようでした。
左手真ん中に目に留まる茶碗が…
初代長次郎の黒樂茶碗 銘 面影 でした。
長次郎の簡単な説明(私は詳しくありませんので、知っている限りで)ですが、樂家初代で、樂焼の創始者。茶道で有名な千利休の創意のもと、「侘茶」の精神をくみ取った作陶となります。
陶器は轆轤(ろくろ)を用いて、丸く成型した土を回し、様々な形に形作りますが、轆轤を用いず手で成型する「手捏ね」という技法を使います。利休の侘び・寂びは、華美なもの(誇張・装飾)を極限にまで抑えたもので、当時は新たな価値基準を打ち出した前衛的な茶碗を作っています。
腰を低く構え、同部には緩やかな凹凸、長次郎の作品の中では変化の多い作振りとの説明書きが。
今、こう見ると「伝統的」とも感じるデザインですが、当時は前衛的なデザインだったのですね。普段の生活では、型破り、とか最近は…、とか新しいものが良く扱われなく、昔は…とか古きを佳しとする風潮があると感じますが、伝統とかそういったものは元々、新しいものだったという一面もあるんだな、と改めて感じました。(私自身は、基本を極めた中に新しさがある、その人らしさがある、といった古いタイプの人間…)
こちらは、六代 左入 赤樂茶碗 銘 里桃。
大振りで金継が印象的な作品と思いました。現代作家さんの作品の中にも、「写し」と呼ばれる模写・または自分なりに落とし込んだもの、実物を目にすると、本物も写しもどちらもいいですね。
こちらは、五代 宗入 黒樂茶碗 銘 亀毛。
こちらは、九代 了入 / 十代 旦入 合作の 黒樂茶碗。中には、このように高台(茶碗の裏)を鏡越しに拝見することができるものも。
一階の他の茶碗も拝見し、二階へ。二階は、茶碗に加え、香炉、水差し、水滴などの作品も。
今回お話しした作品はごく一部です。陶器は、肉眼でしか観ることのできない景色・美しさがありますので、ご興味のある方は、是非足を運んで見ることをお勧めします。
訪問先情報
住所:京都府京都市上京区油橋詰町87−1 丸太町から徒歩20分程度(約1.4km)もしくは、一条戻橋・晴明神社前から徒歩5分(約400m)、烏丸一条、堀川今出川からそれぞれ徒歩8分(約700m)
営業時間:10:00~16:30(入館は16:00まで)
定休日:月曜(月曜日が祝日の場合は開館)、展示替え期間、年末年始
入場料:展覧会により変動
駐車場:樂美術館の駐車場(2台ほど)が樂美術館すぐ隣にあり。使用の際は、樂美術館スタッフさんに声掛けが必要との張り紙。コインパーキングも付近にあり。
十字路の多い住宅地で一方通行も多く、観光客含め通行人もままいるため、運転には気を付けた方が良いと思います。
トイレ情報:オストメイトなし、オムツ変え台なし、トイレ内に車いす使用可能なスペースなし、トイレに行くまでに段差あり。
バリアフリー状況:1階の展示スペースまではほぼ段差無し。2階展示スペースには、階段を使用。
その他:作品説明が日英表記。
では、次回の投稿で!
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